たのしい人生

Logicool / Logitech のサポートとブランドの死の話

TL; DR

PC 周辺機器メーカーである Logicool / Logitech はサポート体制を変更し、修理依頼は

該当デバイスを破壊する証明動画をユーザーに撮影させて、それを確認後、修理ではなく新しい製品を再送する

というものになっており、修理のために製品を破壊せねばならず、多量の廃棄物を排出するものとなっており、ブランドとしてのイメージ・愛着を著しく毀損するものとなってしまったため、Logicool / Logitech 製品の購入を検討している場合にはサポートの観点で購入されないことをおすすめします。

以下、詳細になります。

Logicool / Logitech とは

Logicool (商標の都合による日本向けブランド。グローバルブランドは Logitech。日本の PC 周辺機器メーカー ロジテック (Logitec) 社は無関係です。 以下 Logicool で表記は統一する) はキーボードやマウス、トラックボールなどで有名な PC 周辺機器のメーカーです。 質実剛健なデバイスを、比較的安価に、かつデザインも中華 OEM ほど安っぽくない、という絶妙なバランスで提供しています。最近は方針変更で比較的高級路線・高付加価値路線に向かっているようで、会社ロゴも刷新して Logicool というブランドをガンガン打ち出しているようです。

私も多くの Logicoolバイスにお世話になりました。列挙してみると、太陽電池付きで充電不要の無線キーボード K750 や、名作トラックボール M570、M570 の実質的な後継機種である MX ERGO、ゲーミングマウスの G502 やヘッドセットの G633、そして今回の主題であるハンドルコントローラー G29 など、本当に多くの製品を利用してきたなと感じます。

Logicool 製品の故障率

このように大変お世話になった Logicool 製品は基本的に品質は安定しているものの、パーツ単位での故障は割とよく発生するイメージです。トラックボールの M570 などもクリックスイッチが 1 年程度でチャタリングを起こすためほぼ毎年買い直していました。友人も同様の故障がよく発生していたようで、サポートに連絡すると製品保証期間の確認もそこそこに新品を送って来てくれていたようです。

正直なところ、Logicool はかなり良心的な値段で製品を販売してくれていたので、まぁそこは妥協ポイントかなぁ、と思っていました。

ハンドルコントローラー G29 の保証期間修理依頼

今回、そんな Logicool のハンドルコントローラー G29 が保証期間の 2 年を目前にして、アクセルペダルを完全に戻してもパルス的な入力ノイズが発生するという症状が発生しました。検索したところ、比較的よく発生している症状のようで、自力で修理している方もちらほらいらっしゃったのですが、保証期間内であり、勝手修理をしたら当然保証対応は受けられなくなるので、今回は勝手修理はせずに保証対応をしていただくことにしました。

Logicool サポートの電話番号は一切つながらないため、Chromium 系ブラウザでしか表示できないと思われるサポートサイトで保証修理のチケットを発行しました。その結果、サポートから以下の返信をいただきました。

保証プロセスを続行するには、機能していない製品を破壊する必要があります。 製品をお送りする必要もなく交換手続きを行えます。以下の手順に厳密にお従いください。保証プロセスを続行することが出来なくなる場合があります。 25MB以下の動画形式でメールでお送りください。

製品の破壊方法(ケース番号XXXXXXXを手書きした紙をご用意ください)。

  1. 動画の録画を開始します。
  2. シリアル番号(シリアル番号)を表示してください。シリアル番号が部分的に見えない、全く確認できない場合、デバイス本体ではなく箱にあるシリアル番号をお送りした場合、保証クレームは無効になります。
  3. バイスのそばにケース番号が書かれた紙を写してください。
  4. 動画撮影中に製品を使用できなくなるまで破壊してください。
  5. 必要に応じて道具をご使用ください。
  6. 動画を編集せず、鮮明にするために照明をご使用ください。
  7. 動画を添付能手、このメールにご返信ください。

交換品が届くまで、機能しなくなった製品を保管してください。場合によって製品をお送りいただく必要があります。このような場合に製品がお手元にないと保証交換は拒否されます。

これらの要件のいずれかが満たされない場合、デバイスのシリアル番号(シリアル番号)が修正された場合、ケース番号が合致しなかったり動画が編集された場合は保証交換が拒否されます。

動画が確認され次第、交換手続きを進めてまいります。それまで手続きは保留されます。弊社で動画を承認し、交換商品が発送された後、機能しなくなった製品を規則に沿って処分していただくようお願いします。

4. 動画撮影中に製品を使用できなくなるまで破壊してください。 のフレーズがあまりにロックすぎて驚いてしまいました。

製品のサポートに破壊を求められる意味

製品の破壊といえば、不買運動などでもイメージが湧く通りあまり気持ちのいいものではありません。大体、自社の製品の破壊を、当の製品の顧客に行わせ、あまつさえ動画に収録させるなど、ちょっとサイコパスか?と思ってしまいます。

また、今回修理を依頼している G29 はハンドルコントローラーというもので、めちゃくちゃ丈夫な筐体とどでかいモーター・ギアの塊みたいな製品であり、これを 使用できなくなるまで破壊 するというのはどこまでしたらいいのか?というのもかなり疑問でした。Twitter でみたところ、最近のサポート変更でマウス等も破壊を求められるようです。

最初に述べたとおり、Logicool は最近では高級路線、ゲーミング等の高付加価値路線を目指しているようです。ユーザー体験という言葉が聞かれるようになって随分たった現在において、Logicool の推し進めるブランディング戦略と、このサポートの体験は全く逆方向に向いているように思えてなりません。今回修理を依頼したハンドルコントローラー G29 も標準的に 4 万 ~ 4.5 万円程度の商品であり、決して安価な消耗品型のデバイスではないかと思います。また、ペダル以外ほぼ完全に動作する製品を破壊して破棄させるのは、いくら経済的に合理的とはいえ、環境破壊の観点で見過ごせないものがあります。

AppleRoomba を製造する iRobot などはアフターサポートやその世界観全体の演出が丁寧で、製品に愛着をもった顧客がサポートでの体験を通してよりブランドロイヤルティを高める、といった話は聞いたことがあるのではないかと思います。そういった中で、Logicool が自社ブランドのサポートで堂々と、自社ブランドは破壊の対象であり、その程度の存在であるという負のセルフブランディングを行ってしまっていることは非常に悲しく、その過ちに気づいてくれることを願ってやみません。

上記の体験を通して、私個人としては Logicool の製品はアフターサポートの観点から 購入しないことをおすすめします。

愛していたブランドだけに残念です。

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