2020 年振り返り
以前
年内にその年の振り返りをするようなやつは信用できない
という言葉を見かけて、0.5理ぐらいあるなと思ったので年明けに振り返りをします。
2020 年やったこと概略
時系列にまとめてもおもしろくなさそうなのでカテゴリごとにまとめた。
- 2020 年やったこと概略
- マツコの知らない世界 「マツコの知らないキーボードの世界」に出演した
- 型システムに入門した
- キーボードのアイディアスケッチをした
- 3D プリンタに真剣に向き合った
- マンガ・小説等 100 冊強読んだ
- ほぼ週刊キーボードニュース 48 回放送した
- ハロー、自作キーボードワールド連載継続した
- HHKB ユーザーミートアップ vol.4 パネリスト参加・エヴァンジェリスト任命された
- Self-Made Keyboards in Japan Discord Server のアップデートをした
- お絵かきした
- まとめ
マツコの知らない世界 「マツコの知らないキーボードの世界」に出演した
なんだかんだ一番大きな出来事はこれかなと思います。自作キーボード作ったり本書いたり YouTube での配信を企画してたりしたらこうなりました。人生何があるかわからない。
マツコの知らない世界の収録裏話的なのは ほぼ週刊キーボードニュース でだいたい喋ってもらってしまったのですが、マツコさんの引き出しの多さと会話の一歩先二歩先を行く頭の回転の速さ、そして番組スタッフの方の熱意がともかくすごかった。
マツコの知らない世界では、プレゼンターはスタッフの方と進行について事前にめちゃめちゃ準備するのですが、マツコさんとは収録本番ぶっつけで話をします。なので文字通りプレゼンターはマツコさんにテーマを魅力的に伝えられないといけません。
収録直前は「キーボードに興味を持ってもらえるだろうか…」と非常に不安でしたが、もともと編集者でありエッセイストであるマツコさんはキーボードに馴染みも深く、大変興味を持って話を聞いていただくことができました。場の空気が凍らなくて本当によかったです。
打鍵感等の伝わりづらそうな内容については補足を用意するなど様々なパターンを想定して対応できるようにもしていたけれどこちらも杞憂で、マツコさんの理解がとても速くポンポンと話が進み、ときにはこちらの想定していた着地点に先回りをされてしまうこともあって刺激的でした。
もちろんキーボードの世界だったのでキーボードの話をしたのですが、マツコさんの引き出しが本当に多く VTuber についても理解があって、以前マツコさんが共演された「ふくやマスター」の話も飛び出したりと放送に乗らなかったところでもたのしく会話できました。放送されたのは 30 分足らずですが、当初の予定を大幅に上回って 2 時間弱お話させてもらっちゃいました。役得。
スタッフの方も事前準備の質と量が凄まじく、自作キーボードについてめちゃくちゃ勉強してくれ、遊舎工房で自作キーボードデビューまでしていました。この熱量で毎週放送をしているのですから本当にすごいし、編集もプレゼンターの意思・意図を尊重しつつおもしろくテンポよくしてもらって頭が下がりました。人気番組の理由を垣間見た気がします。
番組作りの裏側をすこしだけ体験させてもらいましたが、ものづくりの現場というのはやっぱりいいですね。マツコさん、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
型システムに入門した
もう一つ大舞台での発表ということで、「5 分ではわからない HM 型推論」というタイトルで 型システム祭りオンライン で LT 発表、わいわいswiftc でもう少し内容を充実して再演しました。
型システムについてはちゃんと体系的に勉強したいなぁと思っていたので、今回この型システム祭りオンラインの開催をきっかけに締め切り駆動で入門しました。
型システム入門といえば Pierce 先生の「型システム入門」 なんですがそちらはまだ途中までしか読めておらず、「型システム入門」の内容をコンパクトにまとめたと言われている五十嵐先生の「プログラミング言語の基礎概念」を読んで発表に挑みました。α変換あたりの説明がちょっと怪しい。
プログラミング言語の基礎概念 ((ライブラリ情報学コア・テキスト))
- 作者:五十嵐 淳
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: 単行本
型システムというとどうも数学的な記述法がハードルが高く感じますが、実際には結構シンプルな話でおもしろかったので、もっと型システムをたのしめる人が増えるとおもしろそうだなと感じました。間違ったことを広めるな、みたいなお咎めがありそうですが… (指摘お待ちしています)。
型システムについては本当に入門の入り口の入り口ぐらいしかまだできてないので、もう少し勉強して実際に手を動かしてなんらかの記事にまとめたい。
キーボードのアイディアスケッチをした
どういうキーボードが自分はほしいんだろうなぁ、というのをもう一度考え直してアイディアスケッチをしていました。
modulo の試作がどうにも納得行くものにならず一旦だいぶモチベが落ちていたので、いっそのことゼロベースで自由にやりました。結果なんとなく納得の行く方向性が見えたのでよしとしています。
これだけだと「わたしのかんがえたさいきょうのキーボード」になってしまうので今年はこれをモノにしたい。
3D プリンタに真剣に向き合った
上記のようなアイディアスケッチで立体的な形状のキーボードが欲しくなってしまったため、従来どおりのアクリルサンドイッチの設計と互換性を保ちつつ、3D プリント / 金属切削でのケースが欲しくなりました。
特に 3D プリントについては今まで試作にしか役に立たないだろうとやや斜に構えていたのですが、だいぶ心打たれる出来事があったのでとりあえずの道具ではなく最終製品に使えるように取り組み始めました。沼ったとも言います。
今年は仕事でも 3D プリンタが役に立ったりとわりと活躍してくれてよかったです。
ずっと内部の詳細については目をつぶっていましたが、改造を通して 3D プリンタにだいぶ詳しくなれたのでそのへんの知見もまとめていきたい。
マンガ・小説等 100 冊強読んだ
Kindle さんによると今年は Kindle で 108 冊読んだそうです。その他紙で読んだ本がいくつかあるはず。
一部の読んだ本には書評をつけました。
FANBOX の方にも随時日記的に書評をつけています。よかったらフォローや支援お願いします。
ざっくりよかった本選抜しようと思ったけど長くなりそうなので別記事。
ほぼ週刊キーボードニュース 48 回放送した
2019 年からスタートした「ほぼ週刊キーボードニュース」、2020 年は第 44 回から第 91 回まで全 48 回放送していたようです。4 回/月 のペースなので「ほぼ」は達成できた感じです。その他番外編の放送も含めると結構やりましたね…
公式サイトもできました。
びあっこちゃんの服装が変わったり、夏頃から新コーナー「#私の60キーボード」「俺のキーボードを見ろ!! #俺キー」が始まったり、遊舎工房さん、PFU さんからスポンサーしていただいたりと、今年も試行錯誤と変化の年でした。2021 年もやっていくのでよろしくお願いいたします。
ハロー、自作キーボードワールド連載継続した
こちらも 2019 年から引き続き連載を掲載していただきました。編集様には大変ご迷惑をおかけしております…
2020 年で自作キーボードのハードウェア・ソフトウェアについてはおおよそ内容を網羅することができました。2021 年はいよいよ 1 発目から「実践編」をお送りする予定ですので 2021 年もハロー、自作キーボードワールドと ITmedia さんをよろしくお願いいたします。
HHKB ユーザーミートアップ vol.4 パネリスト参加・エヴァンジェリスト任命された
毎年恒例になってきた HHKB ユーザーミートアップですが、そちらのトークセッションにパネリストとして参加させていただきました。
そして同時に HHKB エヴァンジェリストに任命されました!今までも ITmedia さんに HHKB のレビュー等掲載させていただいたり、キーボードニュースでも取り扱ってきましたが、今後も HHKB のいいところ・おもしろいところを発信させていただく他、ぜひとも橋渡し役として「HHKB / PFU に提案・物申したい!」をぶつけてもらえればと思います。
Self-Made Keyboards in Japan Discord Server のアップデートをした
管理人をさせていただいている自作キーボードコミュニティ、Self-Made Keyboards in Japan Discord Server に bot 管理のカテゴリを新設したり、Discord のコミュニティ機能対応などをしました。
今年も自作キーボードについて気軽に会話できる場が提供できるようにがんばります。
お絵かきした
今年のお絵かき KPI は公開する絵の枚数を前年度比増やすだったので増やしました。
KPI に over fitting した結果落書き多すぎねぇか?みたいなところはありますが、枚数描かないとうまくもならないと思うのでよしとします。2021 はもう少しお絵かきを手癖にしてうまくなりたいですね。
まとめ
今年は外圧的な、他の方にモチベートされたりマネジメントされた状態でのアウトプットが多く、個人的なプロジェクトに関しては勉強とか下準備みたいな物が多かったので、2021 年は自分からアウトプットしていく年にしたいですね。
最後になりますが、2020 年も大変多くの方にお世話になり、ご迷惑をおかけし、それでもなお支えていただきました。2021 年も、そろそろご指導ご鞭撻を賜る側ではなくご指導ご鞭撻しなきゃいけない側なのですが、なにとぞよろしくお願いいたします。
自作キーボードと 3D プリンターとものづくりの民主化
この記事は「キーボード #1 Advent Calendar 2020」 21 日目の記事です。
20 日目は Kakudo さんの「KiCadの便利プラグインと綺麗な配線」でした。
当初予定では「マツコの知らないキーボードの世界出演の話とか今設計してるやつとか」の予定だったのですが、別立ての 2020 振り返り記事にしました しようかと思います (振り返り記事を投稿したらリンクを張ります)。
TL;DR
これは随筆です。
自作キーボードと 3D プリンタに共通する「ものづくりを人々の手に取り戻す」ということについて考えが多少整理されたのでまとめました。
3D プリンタとものづくりの力
今年は自作キーボードの設計に必要だからと言い訳しながらずっと 3D プリンタをいじって年末を迎えてしまいました。そんな 3D プリンタと向き合った 2020 年の中で一つ頭をぶん殴られるような思いをしたことがありました。(註釈: FDM とは家庭用デスクトップ型の 3D プリンタで現在主流の方式)
FDMが好きな理由は万人のための工作機械だからかな。FDM機を使用するのに手袋も眼鏡もマスクも必要ない。樹脂と電力があれば良い。これは万人のための工作機機械としての必須条件です。
— はるかぜポポポ (@N3uuSp3ak) 2020年7月21日
これは産業革命以降の機械や人間を一か所に集めて生産する事に対するカウンターパンチです。
産業革命以降、人間は物を作る力を急速に失っていってそれはどんどん加速している気がしている。
— はるかぜポポポ (@N3uuSp3ak) 2020年7月21日
そりゃあ世界全体で見れば高度化し、量産性は上がり、高性能なものが手に入りますよ。
でも知は分離され、分断され、オーケストラのようになってしまった。
No!No!No!
— はるかぜポポポ (@N3uuSp3ak) 2020年7月21日
すべての人類に物を作る力を取り戻さねば!
サルが棒を握った日を思い出さねば!
万人の指!万人の棒!万人のナイフ!
万人のための問題解決のための万人が持つ工作機械!
FDM方式の3Dプリンターにはその理想的な資質がある。
もともと 3D プリンタは設計試作ができればいいやと思っていたのですが、このツイートにはだいぶ感銘を受けて 3D プリントでキーボードを作ることを最近は真剣に考えています。そして、形こそ違えど、この「ものづくりを人々の手に取り戻す」という行為の実践の一つが自作キーボードなのではないかと感じ始めています。
レジスタンスとしての自作キーボード
世の中には本当にあらゆる製品が溢れていますが、そのどれもこれもが高度化した製造と仕組みによってブラックボックス化し、製品の具体的な内側を消費者の想像の埒外に追いやり、決して自分では作れないという諦めのようなものを人々に植え付けてしまっているような気がします。実際には (間接的であれ) 人間の手によって作られていることは間違いないにもかかわらず、です。
そういった 20 世紀的な大量生産によって生じるある種の諦めを、私の場合は自作キーボードという文化が解体してくれたのです。
私が自作キーボードに入門して初めて組み立てたキーボードは ErgoDox でした。当時はまだ情報も少なく仕組みなどわけもわからずという状態だったものの、市販製品として買うことしかできないと思っていたキーボードを自分の手で組み立てて、ソフトウェア (ファームウェア) も自分でカスタマイズして動作させることができるという体験に非常に感動した覚えがあります。
その後、さらに歩を進めて自身で分割キーボード Ergo42 や入門キットの Meishi / meishi2 を設計して製造・販売をすることもできました。自作キーボードも多分に発展した 2020 年現在から見ればアクリルのサンドイッチケースはかなり "シンプル" であることは否めないですが、それでも実用的な強度と十分すぎる打鍵体験は未だに古びれないですし、むしろ今はそういった「人の手によって作られたことがわかる素朴さ」が私の原体験だったということを再確認しています。
自作キーボードにおける「3D プリンタ」
自作キーボードが最近急激に盛り上がっているのは単なるムーブメントなのかというと、そうではないと思っています。
昨今のスタイルの自作キーボードが確立する 2015 年頃以前から、キーボードを自作する・改造するということをしている方がいらっしゃったことはインターネットを掘り起こすと確認できます。ではなぜここ数年、これほどまでに自作キーボードが盛り上がったのでしょうか。
それは
- 設計のためのオープンソースソフトウェアの発展・低コスト化
- CNC などの技術革新による少量生産の大幅な発展・低コスト化
- 国際的な流通と web 技術の発展による専門部品の調達の容易化・低コスト化
によって、今までは企業などのある程度の資本規模がなければできなかった設計・製造が、個人レベルでも実現可能な範囲に入ってきたからです。より直截に言えば、お金や加工技術がなくても再現性のあるものづくりが誰にでもできるようになったからです。
「お金や加工技術がなくても再現性のあるものづくりが誰にでもできる」、まさにこれは 3D プリンタの性質と合致します。自作キーボードの設計記事でよく目にするパーツ販売サイトや基板製造委託業者こそが、自作キーボードにおける「3D プリンタ」だったのです。
製造技術の進歩とものづくりの民主化
技術発展によって生産性が上がり低コスト化することで、従来大資本でなければできなかったことが個人や小さな集団でもできるようになる、というのは自作キーボードに特権的なものではありません。ソフトウェアの世界ではひと足早くこういった事が起こりました。最近では T シャツやマグカップに自身のデザインをプリントした製品をオンデマンドで生産販売するサービスもすっかり定着しています。
そういった多方面での設計・製造・流通・オンライン商取引の発展により、権力としての製造能力は大資本の独占ではなく、市民の平等な権利になりつつあります。ものづくりの民主化です。そのため、おそらく第二、第三の「自作キーボード」がこれから登場してくるでしょう。
そして、自作キーボードも含めてそういった製品群がより多くの人の「私は "権力者" ではないからできない」という諦めを解体して、「私にもできるかもしれない」を生み出してくれるのではないか、という大仰な夢に自覚的になれたのが 2020 年の収穫かもしれないです。
つまりは具体的な進捗がないということなのですが。
この記事は Polaris / Kailh Cream housing / Invyr UHMWPE v1 / TriboSys 3203 で書かれました。 2020 12/22 0:40 (遅刻)
7 月読んだマンガレビュー 19冊 〜雨でも晴れでも、欅姉妹の四季、好きな子がめがねを忘れた、女の園の星、など〜
といいつつ初の試みのため 6 月末から、Pixiv FANBOX での投稿をまとめたものになります。 日々の進捗等を記録しているので気になる方はぜひ FANBOX のフォロー、支援登録お願いします。
- くわばらたもつ先生「あなたと私の周波数」★★★★☆
- 清水ひかり先生「ヒメゴト」★★★☆☆
- タカノンノ先生「ショートショートショートさん」★★★★☆
- 宮原 都先生「一度だけでも、後悔してます。(1)」★★★☆☆
- 樋渡りん先生「冠さんの時計工房 2」★★★★☆
- あらた伊里先生 「雨でも晴れでも (1)」★★★★★
- 瀬野反人先生「ヘテロギニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~(1)」★★☆☆☆
- GAGAGA 先生「トモダチヅクリ」★★☆☆☆
- カヅホ先生「キルミーベイベー 1巻」★★★☆☆
- 長月みそか先生「HR~ほーむ・るーむ~ 1巻」★★★☆☆
- 萩埜まこと先生 「熱帯魚は雪に焦がれる4」★★★★☆
- 未幡先生 「私の百合はお仕事です!: 5」★★★★★
- ユリトラジャンプ~ウルトラジャンプ百合アンソロジー~ vol.3 ★★★★★
- 相崎うたう先生 「どうして私が美術科に!? 1巻」★★☆☆☆
- 大槻 一翔先生 「欅姉妹の四季 1巻」★★★★★
- 藤近小梅先生 「好きな子がめがねを忘れた 1巻」★★★★★
- 和山やま先生 女の園の星(1)★★★★★
- ばったん先生 「姉の友人」★★★★☆
- 津留崎優先生 池澤真先生 「異世界美少女受肉おじさんと(1)」★★☆☆☆
- おわり
くわばらたもつ先生「あなたと私の周波数」★★★★☆
百合という文脈というよりは、一般性の高い感情モノという感じ。重い話が多くて、感傷リスカやりたい場合にはおすすめ。
清水ひかり先生「ヒメゴト」★★★☆☆
絵がともかく綺麗で最高によい。お話としてはわりと大きな起伏なく進むのでエモは弱め。清涼水的読み心地。読後感も爽やか。
タカノンノ先生「ショートショートショートさん」★★★★☆
表紙の絵が好きで購入。思ったより顔芸マンガだった。そういう意味で人を選ぶかもしれないので注意。
ルックスは悪くなさそうなんだけど中二病をだいぶこじらせた感じの主人公の生活を 1 話完結のオムニバス形式で描く。内容は (いい意味で) しょうもない。ex. コンタクトを初めて目に入れるのにめっちゃ苦労する話など。
最近ちょっと疲れ気味だったのでそういうときに読むにはちょうどよかった。好評だったようで第 2 巻 (紙版) が 7/10 発売 予定 しました。
宮原 都先生「一度だけでも、後悔してます。(1)」★★★☆☆
失業して家賃を滞納していた主人公 (女) が、滞納した家賃を大家 (女) に身体で返すことを求められて、しかも家賃免除の条件として同棲することになって…私この先、どうなっちゃうの〜?、というあらすじだけを書くと身も蓋もない作品。
実際序盤の展開はかなりご都合主義的で気になるけれど、一応「なぜ大家さんがそんなことを主人公に要求するのか?」というところが申し訳程度に提示される。が、1 巻ではそれほど進展がない。期待できそうではあるので 2 巻以降に期待。
また、ネタバレになるので書かないけれどちょっとした叙述トリックがあってそちらのほうが「なるほどね」感があった。目は鋭めのキャラクターが多いが、絵の雰囲気はモチモチしていてよかった。かわいい。
樋渡りん先生「冠さんの時計工房 2」★★★★☆
冠時計店を営む (ちょっとだいぶ時計オタクな) 冠綾子が主人公の作品。そもそも現代に時計店というのが一周回ってこだわりお店という感じでテーマ選びがおもしろい。時計に関連したお客さんやお隣さんとのヒューマンドラマが展開するオムニバス形式。2 巻もオタク早口な冠さんとご近所の人間ののんびりしたお話を眺める感じ。癒やし。
明確に百合漫画ではないが人物紹介には当然のごとく女性しか出てこない (作中には普通に男性も登場するにも関わらず)。人物紹介から「圧」があってよい。お隣さんの笹倉雪枝があまりにもわざとらしく冠さんの生活圏に登場するので百合の波動を感じるが特にそういう進展はない (なぜ?)。
顔はデフォルメ寄りだけれど妙に身体に質量感があるというか、「ガタイがいい」感じの絵柄ですき。
岩手を舞台にしており、いまどきそんな地域交流ある?みたいなほのぼの描写もおもしろい。このへんは同じく東北を舞台にした石塚千尋先生の「ふらいんぐうぃっち」あたりも雰囲気が近いかもしれない。トーンを用いる量が少なく、ベタとハッチングによるアナログ的な質感とメリハリのある画づくりも特徴的で、あずまきよひこ先生の「よつばと」や博先生の「明日ちゃんのセーラー服」などと似た風情がある。この描き方もわりと好き。
- 作者:あずま きよひこ
- 発売日: 2018/04/28
- メディア: コミック
あらた伊里先生 「雨でも晴れでも (1)」★★★★★
名作百合コメディ 「総合タワーリシチ」 の作者であり、なかなか連載誌に恵まれないあらた伊里先生の最新作。もともと少年画報社のヤングコミックで連載していた 「とどのつまりの有頂天」 が、月刊コミック電撃大王 (KADOKAWA) へ "リニューアル移籍" した異例の作品。
「とどのつまりの有頂天」(以下「とどつま」) については、全 2 巻で "一旦完結" したことになっており、電撃大王での連載は、いわばアニメ版エヴァンゲリオンに対する "新劇場版” のような位置づけになっている。 物語の出だしやキャラクターは変わらないものの 1 巻後半から徐々にストーリーラインがオリジナルの「とどつま」からは離れてきており今後の展開が気になる。
「雨でも晴れでも」は、とある島の全寮制女子高校に入学した京都の神社出身の主人公「山田美古都」と仏頂面で周囲と壁を作ってしまっている (がとある事情で美古都にデレデレな) 生徒会役員でヒロイン「猫崎蓮」の二人を中心とした学園モノ百合コメディ。 もともと神道系で学内に神社がある「有頂天高校」で、入学後の友達づくりに失敗した美古都は猫崎の根回しで学内の神社でひとり巫女服を着てお茶を飲む「巫女部」を設立して猫崎とのささやかな放課後を過ごしていたが、あるとき「部員が 4 人以上いないと廃部」という定番のイベントによって他の "4 人以下の部活のあぶれ者" たちと集まって謎の部活「有頂天部」を設立し、美古都のぼっち生活は一転ドタバタ百合デイズに…という王道な展開。
あらた伊里先生といえばハイテンションでコメディ寄りな展開で、最後にそれらコメディの中で描かれていた関係性を一気にシリアスに回収するというスタイルが「総合タワーリシチ」や「とどつま」でも一貫して見られたけれど、軽妙なすれ違いラブコメ展開は「雨でも晴れでも」でも健在でたのしく読める。 一方で、あとがきであらた伊里先生自身が言及している通り、"原作" である「とどつま」に比べるとコメディ要素や脇道エピソードを抑えて、物語序盤からガッツリカップリングを意識させる描写や百合的な関係性、さらには「とどつま」であまり描かれなかった "他人を避ける猫崎" の背景を物語の中心に据えていて、まさにリニュール版といった雰囲気になっている。あと「とどつま」より美古都がやや釣り目?目尻が上がってよりかわいさが強調された絵柄になった (気がする)。
「とどつま」もめちゃくちゃおもしろくてしっかり百合していて非常によかったので、さらに磨きがかかった「雨でも晴れでも」もめっちゃ期待してる。
瀬野反人先生「ヘテロギニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~(1)」★★☆☆☆
異種族の住む地にフィールドワークをしに行く異種族言語学者の卵の話。 主人公の「ハカバ」(表紙右) が、最初に立ち寄ったワーウルフの街で出会ったワーウルフと人間のハーフの「ススキ」(表紙左) と異種族の世界を旅しながらその言語や文化を学んでいく紀行モノ。
異種族言語学はこの世界では歴史の浅い学問のようで、主人公の師事している教授がほぼ権威と思われる?しかしこの教授、教授というわりにはまともな文献を残しておらず、弟子である主人公は主人公で不勉強すぎてビビって本筋に身が入らなかった。 主人公は異種族言語自体は学んでいたようである程度喋れるのだが、その一方で異種族の文化的なことに対して当初あまりに無理解で、マジでクソ教授の研究室だったのでは…というなんとも言えない気持ちに (このフィールドワークの間に学んでいくのだが…)。
ワーウルフ (狼) やリザードマン (ワニ) などが登場するが、元ネタになった動物になぞらえた発声方法や視覚の色情報の分解能によるコミュニケーションの差などが豆知識的に挿入されている。全体的にコンセプトはおもしろいと思うものの、ややパンチに欠けたかもしれない。
【追記】 いや、文化的にも言語的にも発声方法的にも大きく断絶している (たとえばワーウルフの "言語" を知らなければ音としては「ワン!」に聞こえる (それはそう)) と考えれば、「(知能の高い) 犬の言語体系をある程度明らかにした」と言えてめちゃめちゃすごいのか?主人公が参考にする教授のノートは解読が大変という描写が何度かあるが、それはちゃんとまとまってないのではなく、それだけ最先端を取り扱っているという表現だと考えれば納得がいくかもしれない…
GAGAGA 先生「トモダチヅクリ」★★☆☆☆
高校デビューに失敗した女子高生二人が出会ってなんやかんやあって仲良くなる百合作品。かなりご都合な展開も多くあまり劇的な展開もないのでタイトルと表紙でオチている感がある。2 巻で完結しているので読みやすい。
カヅホ先生「キルミーベイベー 1巻」★★★☆☆
言わずとしれたアニメ化もされた作品。アニメがめちゃくちゃ原作に忠実だったことがわかった。普通に学校に通っている暗殺者「ソーニャ」とめちゃめちゃ頑丈な体を持つ向こう見ずな「やすな」の日常系コメディ。
長月みそか先生「HR~ほーむ・るーむ~ 1巻」★★★☆☆
2006 年刊行。ポストあずまんが時代という感じの長月みそか先生の女子中学生日常 4 コマ。内容は死ぬほど平坦 (いい意味) な「そういや中学ってそういうことあったなー」という涅槃的作品。 見ての通りデフォルメされたキャラクターデザインになっていているんだけれど、その実描き込みというか画力の暴力が凄まじく、序盤のなにごともない日常パートとかを読んでさえいてもその「目触りのよさ」で読み続けられてしまうある意味怪作。 ストーリーも 1 巻後半に向けて盛り上がっていっていい意味で期待を裏切ってくれた。2 巻もたのしみ。
萩埜まこと先生 「熱帯魚は雪に焦がれる4」★★★★☆
言わずとしれた超有名百合作品。百合マンガ大賞 2017 第 2 位受賞。最新刊は 7 巻… 親の都合で東京から田舎の七浜高校へと転校してきた「天野小夏」と、七浜高校の唯一の 水族館部員 "だった" 「帆波小雪」の二人が、二人きりの水族館部員生活を通して交流する日常を描く。 「水族館部」という珍しい部活は実在しており、取材に基づいて描かれているというあたりも "ご当地もの" としておもしろい。ちなみに愛媛県大洲市がモデルだそうです。
ともかく「スピード感」がうまい。 小雪も小夏もあまり自分を見せるのが上手いタイプではなく、百合作品としてガンガンと話が進むわけではないのだけれど、気づくと結構「あれ、距離感近くない?」という感じでじれったさは全然感じない。 あと絵が非常に表情豊かでその描写だけでもたのしめる、完全に腕力で殴ってくるタイプの作品。よいです。
未幡先生 「私の百合はお仕事です!: 5」★★★★★
言わずとしれた超有名百合作品 (2)。百合マンガ大賞 2017 第 1 位。最新刊は 6 巻… 他人に愛される "ソトヅラ" を演じて玉の輿を狙う主人公「白木陽芽」が、コンセプトカフェ*1「リーベ女学園」の店長である「御子柴舞」に怪我を負わせてしまい、その穴埋めに「リーベ女学園」でバイトをすることに…というところから始まる女だらけのコンカフェドロドロ百合。なんだそれは…
シリーズとしては高い画力とやや凝った構成の、しっかりした作品。こちらも正統派に画力で殴ってくるけれど、「熱帯魚は~」に比べると精神不安定な登場人物が多く (全員?)、三角四角多角関係みたいなややこしい愛憎劇的な趣が強い。 上述の通り、コンセプトカフェ「リーベ女学園」を舞台の中心にしており、ある種の劇中劇的な物語の構造と、主要な 4 人のキャストがそれぞれにいろいろな感情を抱いているという複雑性もありつつで、1 巻はわりと説明的で読みづらいかもしれないけれどどうか 2 巻まで読んでほしい。急激に物語が進むので。1 巻で脱落してる人結構いそうだなぁと思うので惜しい作品。
日用雑貨の LUSH を模したと思われる店舗が出てくるのだが、その名前が「ZSH」でその下に書いてある文言が「INTERACTIVE LOGIN SHELL」なのは完全に確信犯。未幡先生その手の仕事とかをされていたんだろうか。
ユリトラジャンプ~ウルトラジャンプ百合アンソロジー~ vol.3 ★★★★★
ウルトラジャンプで掲載された百合読み切り + 新規描き下ろしの百合アンソロジーの第 3 段。一迅社の百合姫のような特化型の雑誌ではなく、ウルトラジャンプの集英社が百合アンソロジーを出しているというのが時代の変化を感じる (集英社に限らず電撃コミックスのアスキー・メディアワークス (KADOKAWA) もここ数年百合作品に力を入れすぎなぐらい力を入れ始めている)。
そしてなんといっても、毎号もともと専門誌だったのか?というぐらいどの作品も粒ぞろいで、集英社の編集部に間違いなくその筋の人間がいる or 入ったのでは?と思われる。アンソロジーコミックというのはなかなかアタリハズレというか、全部が全部刺さるということは難しいものだけれど、ユリトラジャンプは今のところすべて読後感がよいというか、大きく外した感がなく最近ではめちゃくちゃ信用を寄せている。
掲載作の中では藤近小梅先生の「ちぢんでのびる」、遠野いぬのひ先生の「HONEY, DARLIN'」、岡ぱや先生の「いっそ踏み潰して」あたりが設定を複雑にしすぎずにひたすら重い女女感情の描写に力が入っていてよかった。こぼれ話だけれど、岡ぱや先生は知り合いで薄い本も持っているので「いつのまにデビューしたんだ…」となっていた。
相崎うたう先生 「どうして私が美術科に!? 1巻」★★☆☆☆
きらら。タイトル通り「間違って美術科に入学してしまった」主人公「酒井桃音」と美術科落ちこぼれ勢のドタバタコメディ日常系百合。きらら〜って感じ。それぞれのイメージカラーと名前が対応していて覚えやすいなと思った。全 3 巻ということで取り組みやすそう。
1 巻の段階では正直上述の説明以上に特筆して説明することはない…百合としてもあまり展開させる気がない?ので、本当に素直な日常系って感じ。友人によると最後 3 巻まで読むと結構良かったらしいので今後に期待。
大槻 一翔先生 「欅姉妹の四季 1巻」★★★★★
一軒家を借りて過ごす欅四姉妹の日常を描くコメディ。日常系ではなく日常を描くコメディとしたのは、日常系のような学校や会社など "外" の世界を舞台とせず、家族四姉妹の自宅での生活 "のみ" を描く点でいわゆる日常系とは大きく異なるため。よくありそうで実はそんなに見かけないフォーマットなのでは?という感じがしている。
絵柄やコメディのノリ、演技が 00 年代、下手すれば 90 年代か?と思わせる雰囲気をたたえているが 2018 年刊行のかなり新しい作品。実際、線が太めでアナログな質感の筆致、ちょっと大仰な顔芸、家の中で姉妹で追いかけ合う描写など随所に 90 年代の香りを感じさせるが、背景や細部のキャラクターの描写、ストーリー展開などはなんだかんだモダンでありどちらかといえばかなりオシャレな部類の作品。Vaporwave とかそういったリバイバル系の文脈と近いのかも?
前置きが長くなったけれど、肝心の内容も個人的にはどストライクで好み。顔芸・体の動きによる演技が非常に豊かであることと、四姉妹であることがめちゃくちゃにいい。
太めな線、トーンをあまり使わずハッチング・網掛けによる陰影・テクスチャ描写、ページの縁まで使わず細かめに区切られた直交したコマ割り、目まぐるしく変わる表情、インタラクションのある動き、すべてが魅力的で気持ちいいアニメーション的に読んでいられる。
四姉妹ということでメインの登場人物は女性しかいないのだけれども、ここでは当然百合的文脈ではなく、素朴な家族愛が描かれている。それでもなお女性しかいない・四姉妹であることは非常に重要な意味を持っていて、姉妹同士には基本的に性別による差がなく、非常にフラットな「社会」が描き出されている。追いかけっ子をすればそれは性差による不均衡がない平等な状況によるもので、捕まえるなどの身体的な接触も極めてプラトニックに描かれることになっている。また、次女の「朱美」の「スタイルがよすぎて困る」というエピソードも、三女の「いずみ」による "共感" と "女性からみて美しい" という形で解消されていて、同一の属性を有する「人間」として問題解決が図られる。抽象化された「人間」関係と、家族という「明示的に意識されない」存在どうしの愛情が描かれていて、心地よい作品。
ちなみに、前述の通り四姉妹の「生活感」はかなり薄い。食事等の描写はあるものの、彼女らが家庭の外で過ごす様子は不自然なレベルで描写が省かれていて、「お隣さん」は登場するものの周辺地域の様子もほぼ描かれず、どこか白昼夢的になっている。また、四姉妹がなぜ四姉妹だけで生活しているのかも作中では一切説明されておらず、かなり作為的な状況になっている。ともすれば四姉妹の四姉妹による四姉妹の生活だけをひたすら描写するというスキームはかなり発明かもしれない。
藤近小梅先生 「好きな子がめがねを忘れた 1巻」★★★★★
上で紹介した ユリトラジャンプ vol.3 でも非常にいい短編を寄稿されていた藤近小梅先生の連載。新しい学年になり主人公小村くんの隣の席になった女の子三重さんはめちゃくちゃ目が悪くて、それなのにメガネを忘れるちょっと天然なところもあり…。困っている三重さんを助けてあげようとするヘタレ小村くんが天然三重さんに (目が見えないゆえに物理的に) 超急激に距離を詰められてふりまわされるラブコメ。
ともかく三重さんがかわいい。三重さんの言葉選びも非常によい。小村くんはヘタレでもう少しがんばってほしい。小村くんに共感性羞恥も感じつつ爽やかな作品。
目つきは悪ければ悪いほどよい。
和山やま先生 女の園の星(1)★★★★★
ある女子校の国語教師である星先生の日常を描くコメディ。あまり明るく社交的ではなく生徒にもそっけない態度をしがちで、同僚の「ちょっと垢抜けた雰囲気の小林先生」も邪険に扱いがちな星先生。しかし心のなかでは結構あらゆることにツッコミを入れまくるタイプで、そんな星先生の「内心ツッコミ劇場」を眺めるタイプの作品。ノリとしては「きれいなクロマティ高校」。もうめちゃくちゃにおもしろい。
読みすすめると星先生や周辺の人間への見方が結構変わる作品なのでなにも内容について言及できないけど、ややシュールなコメディが好きな人なら絶対オススメ。星先生と小林先生のカップリング描く人おるんやろなぁ…
なんでやろなぁ。
ばったん先生 「姉の友人」★★★★☆
中学生の「るり子」が、元 "姉の友人" でめちゃくちゃ美人な今日子と再開するところから始まる百合短編。
今日子を中心に、元恋人の妹である中学生のるり子と定期的に会う話、姉と今日子の過去の話、姉と今日子の未来の話、今日子に「初恋」をしたるり子の大学時代の話など、時間軸を前後しながら描く。なんでも持っていて、でも本当にほしい「宝物」だけは持っていない今日子がせつない。
津留崎優先生 池澤真先生 「異世界美少女受肉おじさんと(1)」★★☆☆☆
モテないらしい 32 歳男性が、幼馴染で容姿端麗優秀で主人公のことが好きな親友 (男) と異世界転生して、しかも転生先で自分が理想とした女の子の姿になっていて…という異世界転生モノ。そして完全美少女になった主人公と親友のラブコメというもうなんなんだこれは…
1 巻は話の進み方が思ったよりのんびりで上記の説明以上の内容はない感じなんだけど、ステータスはしっかり異世界転生チートっぽくなってるし、なんというかいわゆるゲームっぽい UI が当たり前のように出てきたりするし、世界をどう捉えていいのやら…という感じで異世界転生素人には大変。
TS ラブコメってのはなかなかおもしろくていいんだけど、もはや異世界転生モノというのはその「苦労せず楽して云々」みたいな欲という罪に対する罰なんじゃないかという気さえしてくる… それでも異世界転生ってレッドオーシャンに人が惹かれてしまうのはなぜなのか…
おわり
というわけで 7 月のマンガは全 19 冊でした。
7 月やったことまとめ
といいつつ初の試みのため 6 月末から、Pixiv FANBOX での投稿をまとめたものになります。 日々の進捗等を記録しているので気になる方はぜひ FANBOX のフォロー、支援登録お願いします。
キーボード
マツコの知らない世界に「キーボードの世界」で出演しました
マツコさんが本当に話の引き出しがすごくて、とてもたのしく話せました。ありがとうございます。
舞台裏配信もしました。収録に際しての裏話、スタッフの方が自作キーボードを作ってくれた話など、放送だけではわからないことや紹介しきれなかったことについてもお話させてもらっています。
ほぼ週刊キーボードニュースの公式サイトができました
とりあえず公開という感じですが、キーボードニュース関連情報がまとまっているのでぜひご覧ください。
Polaris (ai03 さん設計) を組み立てました
Kailh Cream Switch に Invyr UHMWPE stem を交換して Tribosys 2303 でルブ、Spring は Cream Switch のものに Krytox 105g0。
2020 年版国内のキーボード情報源をまとめました
まとめました。
NovelKeys Cherry PBT Black on White レビュー
書きました。
イラスト練習
90 秒スケッチ。よく 30 秒スケッチなどが言われているが 90 秒でも頭が爆発する。難しい…
なんか色数少なく塗ろうとしたらめちゃくちゃ昭和感が出てしまった。彩度落としたほうがいいかも。
ゲーム
Helltaker
一世を風靡した (?) パズルゲーム。ともかくキャラクターがかわいい。
二次創作も描いたりした。
Little Witch Nobeta
長すぎたので 別記事 にしました。
Catherine Fullbody
最終日手前までやった。もともと PS3 の原作を 10 年前にやっていたのだけれど、色褪せない名作。PS4 のリマスターに際し、新たな「キャサリン」が増えてシナリオも思った以上に強化されていてただのリマスターではなく原作をやった人間でもたのしめている。10 年前にやったからかもしれないが…
その他
43UN700T-B と GW2283 が届いて設置しました
以前は Philips の BDM4065UC/11 を使っていたのですが、40 inch 4K だと Hi-DPI 125 % ぐらいにしないとさすがに文字が小さく 4K 分の "面積" を活かしきれてない状態でした。今回ワンサイズ大きい 43UN700T と、ちょうど dpi がほぼ同じ GW2283 が 2 つとも Amazon のタイムセールでだいぶ安くなっていたためセットで購入。Hi-DPI スケーリングが不要になった分 4K の解像度をフルに使えるようになって画面が広くなりました (物理的にも)。
LG の比較的単価が高いモデルは「色範囲検査済み」の証明がつくのですが、デフォルトの設定だとかなり青く、その辺は調整が必要でした。階調についてはもうちょっとちゃんと観てみないとわからないけれど、暗部でも大きく色は転んでない様子 (やや暖色に寄る印象ではあるけれどわりとよさそう)。
にしても 4K IPS 43 inch のディスプレイが 6 万円切って、FullHD であれば 1 万円程度で買えるのは恐ろしいですね。技術進歩はすごい。
NovelKeys Cherry PBT BoW レビュー
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Cherry PBT Black on Whitenovelkeys.xyz
たった $50 にもかかわらず、PBT ダブルショットで成形品質は非常によい。 ヒケ・反りもなく、白のバランスも暖色・寒色に偏らずでめちゃめちゃ好感が持てる。 ただ打鍵音や材質感は値段なりというか、PBT 的な硬質な落ち着いた音を期待するとちょっとさすがに厳しいかもしれない。この辺は、$100 ~ クラスの ePBT や Signature Plastics と比較するのは酷というもの。 お値段を考えれば完全にお得なレベルで出来がいいので、とりあえず買ってみてもいいキーキャップではあると思う。
色は本当にきれいな白と黒。レジェンドはオシャレというわけではないが標準的。比較的めずらしい PBT のダブルショットだけれど刻印はきれいに出ている。
整形品質は非常によく、PBT でありがちな反りもなくともかくキレイ。これが $50 なのは NovelKeys もよく見つけてきたなという感じ。
Polaris につけたところ。思ったより様になる。手前は色味比較用の ePBT Extended 2048。
Little Witch Noveta ファースト・インプレッション
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Little Witch Noveta ファースト・インプレッション
Little Which Nobeta というインディーズゲームの early access が始まっていたので購入。制作は台湾 Pupuya Games。ソウルライク*1 なインディーズゲームになっている。
early access 発売タイミングでそのゲーム性とデザインから「ロリダークソウル」(公式 Twitter も採用) などと呼ばれていた。ソウルシリーズはみんな大好きであり僕も私も作りたがるので、近年ではソウルライクタイトルはやや飽和気味、玉石混交やや石多めと言えるほど制作・リリースされており、ましてやインディースタジオの early access となると品質はかなり厳しいものになるのではないかと正直予想されていました。話題になる初手にビジュアルのよさがあったのは間違いないと思われる (Nobeta ちゃんかわいい) し…
敵に対するロックオンシステム、遠距離での魔法攻撃、行動に必要なスタミナゲージなど、ソウルシリーズの文法を丁寧に実装している。
ですがやってみると、Little Witch Nobeta がソウルシリーズの精神 (と一部キーワード) をしっかり継承した、ただのパチモノではない、完全に骨太なしっかり作り込まれた「ソウルライク」であると、すぐに気づくはずです。魔法等のスキルと近接格闘アクション、パリイや回避はある程度ソウルシリーズらしい文脈に乗りつつ、それらの仕様一つ一つに理由が付けられそうなほど有機的に・精緻に連携できるようになっており、Noveta が独自に拡張・構築してきたシステムはとても明確に「その要素が必要であった」という思想が見え隠れしています。
Noveta のあらゆるシステムとレベルデザインがあまりにも論理的に構成されているので、プレイヤーとしては「アクション RPG ゲーをやっているのか」「ゲームがどのようなルールで要素を設計しレベルデザインに落とし込んでいるかを推定するメタパズルゲーをやっているのか」というぐらいのたのしみがあります。あまりのシステムの作り込み (単に要素を増やして複雑なのではなく、単純ないくつかの要素が有機的に接続する仕組み) に、ボス戦で負けても「あー、今のは自分が先走ったなー」「今のは自分のシステム理解が足りなかった」といった気持ちになる、まさにソウルライクゲームといってよい仕上がりになっています。これで early access なのが嘘みたい…という高い品質で、それがたった 1,000 円。昔懐かしい振り込めない詐欺を彷彿とさせます。
やられたときはチェックポイントである「女神像」から復活します。ソウルライクでいうところの篝火ですね。ここでレベルアップやアイテム購入などができます。ソウルロストの仕様についてはやや複雑なのでここでは割愛。ただ、ソウルシリーズみたいに死んだら全部を失う…ッ!何もかも…ッ!!!みたいな感じではないです。ただ Nobeta ちゃんが負けるのが申し訳なくなるだけで…
ストーリーも序盤から思わせぶりな「魂」と「器」、「自意識」の話、Nobeta ちゃんの記憶が不完全なこと、Nobeta ちゃんが (自分でも?) 理由はわからないが「王座」を目指していることなど「オッ、ソウルシリーズやっとるな?」というストーリーラインもバッチリです。エリア展開の仕方もオシャレだったり、Nobeta ちゃんの攻撃中でもフェイシャルモーションがつくりこまれていたりとか、本家ソウルシリーズに負けるとも劣らない、いや完全に kawaii で勝ってるロリダークソウルこと Little Witch Nobeta、まだ冒頭しか遊んでないですが、今年 1 テンションの上がっているタイトルかもしれません。おもしろいです。
また、さんざんソウルライクと書きましたが、そのモチーフやテーマ、アクション要素については様々なゲームからの影響を感じます。アクション性高めでジャンプアクションもあり、回避アクションでボーナスが付くあたり、そして「魂」と「器」の物語は「NieR:Automata」あたりを、その特徴的なキャラクターデザインやモーションのボス、魔法のチャージというリスク行為と回避と物理攻撃、魔法発射をうまくチェインとして回していくあたりはからは全編ボスバトルアクションゲーム Malicious などの影響を感じます。
いずれにしても、それぞれ名作とされるゲームのよいところを丁寧に吸収した「オリジナル作品」としてかなりの完成度を誇っており、「これで early access…?」といった感じですが、作者によると完成まではあと 1 ~ 2 年程度必要だそうです。
完成が待ち遠しいと同時に、作者を是非応援したいという方はぜひ early access 版の Litlle Witch Nobeta プレイしてみてはいかがでしょうか。ソウルライクな難易度さえ覚悟してもらえれば、たのしめること請け合いです。
キーボード情報源 2020
【宣伝】本日「マツコの知らない世界」で「キーボードの世界」のテーマで出演しま す した。よろしくお願いいたします。
TVer で 1 週間見逃し配信があります。
また Paravi で有料視聴が可能です。
MoguLive 様に記事を書いていただきました。
キーボードの情報源
最近、自作キーボードやゲーミングキーボード、高級キーボード市場の拡大に伴って、キーボードの話題やキーボードを「趣味」とする人たちの輪が少しずつ広がっています。とはいえ、まだまだ海外の情報源が中心だったり、そもそもどこから入ったらキーボードについての情報が得られるか、という入り口の部分についてたどり着きづらいところもあるのではないかと思います。
そこで今回は、手短にキーボード・自作キーボードについての日本・海外別の情報源について簡単に紹介してみようと思います。記事の長さの都合で紹介しているものはごく一部です。
日本国内情報源
ニュース・発信系
ITmedia 連載 「ハロー、自作キーボードワールド」
いきなり手前味噌で恐縮ですが、自作キーボードについてできるだけ丁寧に初心者の方にもわかりやすく、でもしっかりディープに情報をまとめようとやらせていただいている連載です。こちらはキーボードそのものではなくあくまで「自作キーボード」に寄っていますが、キースイッチについてなど自作キーボードに限らない情報もできるだけお届けできるようにしています。
mechkeys / MECHKEYSJP
にるぽ さんの自作キーボード / カスタムキーボードについての写真を集めた Scrapbox です。めちゃめちゃたくさんのキーボードの写真があり、見るだけでテンションが上ります。雰囲気を掴むのにおすすめです。
自作キーボード温泉街の歩き方
salicylic-acid3.hatenablog.com
ともかく投稿量が多い。7sKB や Naked シリーズを設計されているサリチル酸 さんのブログです。若干気圧されてしまうかもしれないですが、結構入門な内容や GB 参加ログなど参考になる情報も多いかと思います。
recompile keys
Nomu30 などを設計されている takai さんのページです。基本的には takai さんが設計されたキーボードについての情報が公開されていますが、日本語で書かれたスイッチの潤滑技法についてのページが有名です。
xe-note
非常に精緻な内容の きせのん さんの Scrapbox。海外の最新のスイッチ事情などディープな情報が非常に多いです。
ほぼ週刊キーボードニュース
手前味噌 (2)。 YouTube でほぼ毎週キーボードについての情報を配信しています。こちらは自作キーボードに限らず幅広くキーボードの情報をお伝えしています。講座や用語解説など入門向けの内容を目指しています。
Daihuku Keyboard
国内自作キーボード系の VideoLog をされている Daihuku さんの YouTube チャンネルです。圧倒的投稿頻度で国内自作キーボードキットやパーツの最先端を記録されています。雰囲気を掴むのにおすすめ。
コミュニティ系
Self-Made Keyboards in Japan Discord Server
おそらく国内で自作キーボード・カスタムキーボードについて最も盛んに情報交換がなされている、Discord というチャットサービス上のコミュニティです。国内外の自作キーボード・カスタムキーボードに関する最新情報が日々共有されています。内容に対して比較的ゆるい雰囲気ではあるので、気軽に参加・投稿してみてもいいかと思います。
2017 年に設立してからまもなく 3 年になります。当初は 30 人ほどだったメンバーも 3000 人を超えました🎉
Self-Made Keyboards in Japan Scrapbox
Self-Made Keyboards in Japan Discord Server はチャットサービスなので最新情報に触れるにはいいものの、体系的な知識は得づらいかもしれません。その際にはこちらの Scrapbox が日本語情報として非常に充実しています。キーボード関連で何かわからないことがあったらまずここで調べてみるとかなりの情報は見つかると思います。
ショップ
遊舎工房
言わずとしれた国内を代表する自作キーボード・カスタムキーボードの専門店です。通販はもちろんのこと秋葉原に実店舗もあります。かなりの種類の国内自作キーボードキットを取り扱っている他、海外のキーボードの販売代行なども行っています。 Twitter @yushakobo
TALP KEYBOARD
国内のもう一つの自作キーボード販売の雄といえば TALP KEYBOARD さんです。木製フレームの自作キーボードキットなど特徴的な製品を取り扱っている他、安価で国内ではちょっと珍しいキーキャップセットの販売や TALP さん自体が染色を行ったキーキャップなど、ラインナップに特色があります。 Twitter @TalpKeyboard
ゆかりキーボードファクトリー
Mint60 の設計者であり Eucalyn 配列の考案者である ゆかり さんの公式ストアです。Mint60 の販売の他、台湾の高品質なキーキャップメーカー「TaiHao」の国内代理店でもあります。
販売ブランド・メーカー
HHKB (PFU)
東大の和田栄一先生が設計に携わった歴史あるプログラマ向けの高級キーボード Happy Hacking Keyboard (HHKB) とそれを製造販売する PFU さん。通称東プレスイッチとも呼ばれる静電容量無接点スイッチの心地よい打鍵感がフィーチャーされがちだけれど実は最初はメンブレン構造で製造されており、その「形状・キー配置」こそが一つのアイデンティティとなっています。(公式サイト「ショートカット操作に適した合理的なキー配列」。)。そのデザインは和田先生考案の Aleph Keyboard がベースになっており、60 % キーボードといわれるサイズのキーボードのリファレンス的なデザインになっています。
REALFORCE (東プレ)
「東プレスイッチ」「Topre Switch」で海外でも通じる高品質な静電容量無接点スイッチを製造する東プレさんと、その東プレさんが自ら設計販売しているキーボードブランドが REALFORCE。静電容量無接点スイッチの製造元であり、その特性を活かした APC (Actuation Point Changer: スイッチが反応する深さを 1 キーごとにカスタマイズできる) 機能や質実剛健な作りなどがファンに支持されています。
FILCO Majestouch (ダイヤテック)
Cherry MX を採用したメカニカルキーボードの老舗ダイヤテックとそのキーボードブランド FILCO、そして FILCO ブランドの代表的キーボードシリーズが Majestouch です。国内でメカニカルキーボードといえば FILCO というぐらいずっとこだわりのキーボードを製造しており、お値段もかなり良心的。最近ではカラフルで高品質な交換用キーキャップや「FILCO キーボード工房」での漆塗りデザインフレームを提供するなど、打ち心地だけでなくデザインにも遊び心のあるメーカーさんです。
ARCHISSS Maestro / ProgresTouch (アーキサイト)
以前から販売されている ProgresTouch や最近ではフルキー並みのキー数で省スペースな Maestro シリーズなどを販売するアーキサイトさん。キーキャップのプラスチック素材がよく使われる ABS 樹脂ではなく耐摩耗性に優れた PBT 樹脂を採用するなど、質実剛健・気づく人は気づくところにこだわった渋いメーカーさんです。ProgresTouch の交換用キーキャップがあまりに品質が高くその割には安いため一時期自作キーボードの手頃なキーキャップとして乱獲されていましたが現在はほとんどが終売…かなしい。ぜひ触って違いを感じてほしいメーカーさんです。
その他
その他にも Twitter 上で「自作キーボード」「カスタムキーボード」で検索すると最近では多くの情報が得られます。また設計者の方が専用の Discord サーパーを用意していることも最近では見かけるようになりました。気になるキーボード作家さんがいたら Twitter やブログを追ってみるといいかもしれません。
海外情報源
ニュース・発信系
海外の情報発信系はいわゆるストリーマー (動画配信) のパターンが多いです。
Taeha Types
気持ちいい打鍵音のキーボードと言えばこの人 Taeha Types こと Nathan Kim です。たくさんの気持ちいい打鍵音の高級なカスタムキーボードの動画を投稿している他、最新のキーボード・キーボードパーツのレビューなどを行っています。
Top Clack
最新のキーボード・キースイッチのレビューを行っています。文字による投稿もありますが、基本は動画配信です。未発売の新商品の情報などが多く提供されています。
コミュニティ系
r/mk
海外の巨大総合 web ブックマークサービスのカテゴリ (sub reddit) の一つである r/MechanicalKeyboard では日々キーボードの情報、特に写真が投稿されています。新しいキーボードの販売情報などが投稿されることもあります。海外コミュニティの雰囲気を掴むならここがわかりやすいかもしれないです。
geekhack
海外の老舗のキーボード掲示板です。最新のキーボードの販売情報などが日々更新されています。なれるまでやや見づらいですが、実質的には国際的なキーボードコミュニティの中心地です。
keebtalk
geekhack と同じくキーボードがテーマの掲示板です。こちらも日々キーボードの情報が投稿されていますが、geekhack よりはやや雰囲気がマイルドです。
ショップ系
海外のキーボードショップについてはその数も多く、ここでは割愛します。
まとめ
2020 年、キーボードにまつわる情報源を簡単にまとめました。キーボードが話題になってきているとわいえまだまだニッチな趣味ではあるので、なかなか入門自体のハードルが高いというのはあると思います。この記事がそういった入門の手引になれば幸いです。
最後にまた宣伝になりますが、キーボード入門のためのニュース番組をほぼ毎週 YouTube で配信中です。ご興味のある方はぜひご確認ください。
おしまい。
私のプロフィールや著作物にめったに「びあっこ」と書いてないことに気づいた話
ID は Biacco42 で基本的なラベルは「たのしい人生」なので、実はひらがなの「びあっこ」は第三者に呼ばれた場合にしか使用されていない。盲点だった。
【小ネタ】Ubuntu 20.04 で Radeon RX5700XT と 4K / 144 Hz / マルチディスプレイ環境など利用時に Suspend から復帰後画面が乱れる問題に対処する
表題の通り Ubuntu 20.04 で Radeon RX5700XT 利用時に Suspend から復帰後画面に乱れが発生していました。
Display glitch on Ubuntu 20.04 with Radeon RX5700XT after suspend / resume
発生環境は
- Ubuntu 20.04
- Radeon RX5700XT
- マルチディスプレイ
- Display 1 - 4K / 60 Hz / DisplayPort 接続
- Display 2 - 1080p / 144 Hz / DisplayPort 接続
ただし、Display 2 の電源を切って接続を解除すると glitch は発生しない。他の発生例も 4K 等の高解像度ディスプレイやマルチディスプレイ環境で発生しているらしい。
解決法
Radeon の自動電源管理に現在問題が発生しているかもしれない。
glitch が発生している状態で、
$ sudo sh -c 'echo high > /sys/class/drm/card0/device/power_dpm_force_performance_level'
で強制的に自動電源管理を無効したら直った。自動的な電源管理がなくなるため消費電力は増えるかもしれない。low
に設定しても直ったのでパフォーマンスに問題ない場合は low
設定でもよいかもしれない。
この設定は永続化せず、Suspend や電源断からの復帰で再び auto に戻るため、発生のたびに実行する必要がある。また、一度 power_dpm_force_performance_level
を high
に設定してから Suspend / Resume した際には high
に設定するだけでなく、一回別の値 (たとえば auto
) をセットしてから再び high
等に設定し直す必要があった。
私の場合は電源断から起動時は問題なく、Suspend からの Resume 時に問題が発生していたため /usr/lib/systemd/system-sleep/amdgpu-workaround
というファイルを用意して sudo chmod a+x /usr/lib/systemd/system-sleep/amdgpu-workaround
で実行権限をつけて
#!/bin/sh case $1/$2 in post/*) echo auto > /sys/class/drm/card0/device/power_dpm_force_performance_level echo high > /sys/class/drm/card0/device/power_dpm_force_performance_level ;; esac
という内容にして一旦は解決した。Ubuntu 19.10 では発生していなかったはずなので、修正されるまでこれでしのいで様子を見ることにした。
おしまい。
参照
Video/Display Glitch on All Kernels above 4.14
[SOLVED] KDE 75Hz screen flicker
AMDGPU - ArchWiki # Screen artifacts and frequency problem
【小ネタ】Ubuntu で boot 時に failed to resume link や SATA Link down、AHCI controller unavailable! などと表示されて妙に時間がかかる問題に対処する
Ubuntu で起動 (Splash) に妙に時間がかかったので調べました。Splash を表示せずに起動時のメッセージを見ると
failed to resume link
や SATA Link down
、AHCI controller unavailable!
など明らかにあんまりよろしくないメッセージが出て時間がかかっていました。
結論としては、PCIe の SATA 拡張ボードに DVD ドライブを接続していたのが原因でした。この拡張ボードは Asmedia 製のコントローラを搭載していたのですが、どうもこの拡張ボードに DVD ドライブを接続していると起動時に上記のメッセージが表示されて起動に時間がかかります。M/B の SATA ポートに DVD ドライブを接続し、拡張ボードの方に SSD を接続したら問題が解消しました。
おしまい。